コラム
カンテの基礎知識

 
194回 各パロ(曲種)ごとの表現(32)ビダリータ

2022年3月13日アップ

パロ(曲種)ごとの表現、今回はビダリータです。
 
ビダリータは、前回ご紹介したミロンガと同様に、
カンテ・ボニートの時代の人気カンテです。
 
ゆったりとした4拍子で抒情的に歌われるロマンチックなカンテ、
それがビダリータ。
 
当時のカンテ人気は、そんな美しいカンテによって支えられていたのですね。
 
ミロンガは少しかわいらしい中南米風のメロディが特徴ですが、
ビダリータは、少しセンチメンタルな曲調が特徴で、
歌詞も、悲しい恋を歌ったものがよく使われていました。
 
カンテ・ボニートの時代が終わって、
よりパワフルでリズムも強いカンテが好まれるようになり、
このビダリータもかなり長い間歌われることがほとんどなかったようです。
 
そんな中、ずっと歌われていないカンテを復活させようと言う動きが起きて、
21世紀になってから、ビダリータも再度たくさん歌われるようになりました。
 
そんな復活したビダリータですが、
昔歌われていた時とは違う部分がいくつかあります。
 
まず一番の違いは伴奏のコード進行。
ご存じだと思いますが、カンテ伴奏のギター(とは限らないけど)のコードは
ギタリストの自由で、決まりはありません。
(カポの位置は歌い手の声に合わせるので、
ギターさんの自由じゃないですよ。)
 
どういうコードを付けたら歌い手が歌いやすいのか、歌がより映えるのか
それを考えるのもカンテ伴奏ギタリストさんの楽しみなんだそう。
 
フラメンコの世界にも流行がありますから、
その時流行っている伴奏の仕方を持ってくることもできますし、
あえて古典的なコードで弾くのもお洒落ですね。
 
ただ歌い手としては、私の為にいろいろ試行錯誤してくれるっていうのが
嬉しいので、今までに聞いたことがないコードを工夫してきてくれたりすると、
それだけでちょっと点数が甘くなったりします。
 
で、お試しで歌ってみて、
その様子で再度ブラッシュアップしてきてくれれば満点ですね。
 
まあ音の好みって言うのもあるので、
いくら頑張ってくれてもNGってこともありますけど。
 
あ、念のためですけど、フラメンコでは基本的にお仕事の依頼は
カンテに来るものなので、歌い手がギタリストを選ぶんです。
これって、他の音楽と一緒ですよね?
(踊りの公演の時は、踊り手にお仕事が来て、
踊り手がカンテとギターを選びます。)
(もちろん、ギターソロの公演ではギター本人が全部決めますよ。)
 
そして、昔ビダリータが流行った頃とのもうひとつの違いは、
曲の構成やリズム、スピード、まあ、平ったくいうと編曲なんです。
 
編曲はフラメンコの場合はアイディアを出すのは歌い手本人で、
それを具現化するのはギタリストということになっています。
これも、日本のシンガソングライターの多くと同じですね。
 
フラメンコでは、メロディを新たに作曲することはありませんから、
それぞれの歌い手のオリジナリティは歌詞と編曲で出すことになります。
 
もちろん作詞も基本的に歌手本人の仕事です。
よく歌われている歌詞をあえて選ぶのも、歌い手の個性ですし、
あくまでもオリジナリティを追求するのもいいでしょう。
 
最近は、プロの作詞家に依頼するフラメンコ歌手も増えたようです。
 
あ、そうそう、詩の内容も以前流行った頃とはだいぶ雰囲気が違いますね。
 
カンテの詩は時代を映す鏡なので、同じビダリータでも、
いろいろな年代の録音を聞いて、歌詞を比較してみると面白いと思います。
(YOUTUBE で探す場合は Flamenco Vidalita と入れてみてください。)
 
ちなみに、私はギタリストは同じくらいの実力だったら、
面倒見がいい人を選んでいます。(嘘です、顔です。)
 
 
 
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パロ(曲種)ごとの表現、今回はビダリータです。
 


 
ビダリータは、前回ご紹介したミロンガと同様に、カンテ・ボニートの時代の人気カンテです。
 
ゆったりとした4拍子で抒情的に歌われるロマンチックなカンテ、それがビダリータ。
 
当時のカンテ人気は、そんな美しいカンテによって支えられていたのですね。
 


 
ミロンガは少しかわいらしい中南米風のメロディが特徴ですが、ビダリータは、少しセンチメンタルな曲調が特徴で、歌詞も、悲しい恋を歌ったものがよく使われていました。
 


 
カンテ・ボニートの時代が終わって、よりパワフルでリズムも強いカンテが好まれるようになり、このビダリータもかなり長い間歌われることがほとんどなかったようです。
 


 
そんな中、ずっと歌われていないカンテを復活させようと言う動きが起きて、21世紀になってから、ビダリータも再度たくさん歌われるようになりました。
 


 
そんな復活したビダリータですが、昔歌われていた時とは違う部分がいくつかあります。
 


 
まず一番の違いは伴奏のコード進行。
 
ご存じだと思いますが、カンテ伴奏のギター(とは限らないけど)のコードはギタリストの自由で、決まりはありません。(カポの位置は歌い手の声に合わせるので、ギターさんの自由じゃないですよ。)
 


 
どういうコードを付けたら歌い手が歌いやすいのか、歌がより映えるのかそれを考えるのもカンテ伴奏ギタリストさんの楽しみなんだそう。
 


 
フラメンコの世界にも流行がありますから、その時流行っている伴奏の仕方を持ってくることもできますし、あえて古典的なコードで弾くのもお洒落ですね。
 


 
ただ歌い手としては、私の為にいろいろ試行錯誤してくれるっていうのが嬉しいので、今までに聞いたことがないコードを工夫してきてくれたりすると、それだけでちょっと点数が甘くなったりします。
 
で、お試しで歌ってみて、その様子で再度ブラッシュアップしてきてくれれば満点ですね。
 
まあ音の好みって言うのもあるので、いくら頑張ってくれてもNGってこともありますけど。
 


 
あ、念のためですけど、フラメンコでは基本的にお仕事の依頼はカンテに来るものなので、歌い手がギタリストを選ぶんです。
これって、他の音楽と一緒ですよね?
(踊りの公演の時は、踊り手にお仕事が来て、踊り手がカンテとギターを選びます。)(もちろん、ギターソロの公演ではギター本人が全部決めますよ。)
 


 
そして、昔ビダリータが流行った頃とのもうひとつの違いは、曲の構成やリズム、スピード、まあ、平ったくいうと編曲なんです。
 
編曲はフラメンコの場合はアイディアを出すのは歌い手本人で、それを具現化するのはギタリストということになっています。これも、日本のシンガソングライターの多くと同じですね。
 


 
フラメンコでは、メロディを新たに作曲することはありませんから、それぞれの歌い手のオリジナリティは歌詞と編曲で出すことになります。
 


 
もちろん作詞も基本的に歌手本人の仕事です。よく歌われている歌詞をあえて選ぶのも、歌い手の個性ですし、あくまでもオリジナリティを追求するのもいいでしょう。
 
最近は、プロの作詞家に依頼するフラメンコ歌手も増えたようです。
 


 
あ、そうそう、詩の内容も以前流行った頃とはだいぶ雰囲気が違いますね。
 
カンテの詩は時代を映す鏡なので、同じビダリータでも、いろいろな年代の録音を聞いて、歌詞を比較してみると面白いと思います。
(YOUTUBE で探す場合は Flamenco Vidalita と入れてみてください。)
 


 
ちなみに、私はギタリストは同じくらいの実力だったら、
面倒見がいい人を選んでいます。(嘘です、顔です。)
 
 
 
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