コラム
カンテの基礎知識

 
191回 各パロ(曲種)ごとの表現(29)コロンビアーナ

2022年2月20日アップ

パロ(曲種)ごとの表現、今回はコロンビアーナです。
 
コロンビアーナは、日本ではグアヒーラの踊りバックの時の、
最後の明るいブレリアの部分で使われるカンテとして知られています。
 
でも、実は現在スペインではグアヒーラの踊りで
コロンビアーナを使う習慣はないんです。
グアヒーラの踊りでは、あくまでもグアヒーラのカンテが使われます。
(カルメン・アマジャが今から60年ほど前に、コロンビアーナをグアヒーラの
 踊りの中でブレリアのリズムで使ったという記録は残っていますが、
 その時のみのようです。)
 
グアヒーラのカンテって実は3番まであるってご存知ですか?
3番まであるグアヒーラを使えば、コロンビアーナは必要ないんですよね。
 
では、コロンビアーナってどんなカンテなのかついて、
お話ししていきたいと思います。
 
コロンビアーナは4拍子のリズムを持つ、明るくかわいらしいカンテです。
 
その名前の通り、中南米(コロンビア)風なメロディをしているのですが、
実はスペインでコロンビアを夢見て作られたカンテなんです。
 
日本ではあまりカンテソロでコロンビアーナを聞くことはないですよね?
それにスペイン人フラメンコ歌手のCDにも、
コロンビアーナが入っていることは少ないと思います。
 
ただ今から70年以上前、1950年ごろのフラメンコ歌手は、
コロンビアーナを好んで歌っていました。
 
というのも、当時フラメンコ歌手は声の綺麗な人が多く活躍していて、
コロンビアーナはその可憐なメロディを表現するのに透き通った軽やかな声が
似合いますし、この時代は明るいカンテが暗いカンテより好まれていたので、
コロンビアーナは人気曲だったようです。
 
その後、フラメンコは政治的な影響もあって暗めのカンテが多く歌われる
ようになり、同時にコロンビアーナはあまり歌われなくなっていきました。
 
ところで、現在のスペインでは、
コロンビアーナは新人フラメンコ歌手がよく歌うカンテだってご存知ですか?
 
スペインではフラメンコ歌手のデビューは、早い人だと
なんと 7歳 くらいなんです!
 
私の師匠のナランヒート・デ・トリアーナも7歳の頃には全国ツアーを
回っていたそうですし、留学当時のクラスメイト、
現在はニーニャ・デ・タラベナとして知られている
フラメンコ歌手のフェリッサ・ゴンザレスも、デビューは7歳の時だったそう。
 
フェリッサの7歳の時のファーストアルバムをご本人から頂いたのですが、
そこにもコロンビアーナがしっかり入っていました。
 
本人に聞いてみると、幼くしてデビューするフラメンコ歌手は、
コロンビアーナをアルバムに入れるのが一般的なんだそう。
 
やはり透明感のある声が似合うカンテなので、
子どもの透き通った声にぴったりなんですって。
 
では、実際にどう表現するといいのかというと、、、
 
バイレは、日本ではグアヒーラの後半に出てくるカンテですので、
グアヒーラの持つもの悲しい雰囲気を払しょくするほど、
明るく爽やかに踊って頂きたいですね。
 
ステップもなるべく軽やかに踏んでください。もちろん顔は笑顔ですよ。
 
では、歌う時は、
 
”コロンビアーナを歌う時は、
自分がアルプスの少女ハイジになったと思うといいのよ!”
 
これ留学時のカンテのクラスメイト達の弁なんですけど、
私はこれ以上の言葉を知りません。
 
街中にいる気持ちではなく、
お山の広い芝生の上でスキップをしているように歌うっとことだそう♪
 
なかなか気分が乗らない時は、最初に ペーターって叫ぶといいそうです。
 
もちろん、これもクラスメイト達のアドバイスでした。
(日本のアニメ<アルプスの少女ハイジ>はスペインでは今も子供たちに
 愛されている定番アニメです。地上波でも繰り返し放送されていますし、
 ケーブルTVやネットでは人気のコンテンツになっています。)
 
 
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パロ(曲種)ごとの表現、今回はコロンビアーナです。
 


 
コロンビアーナは、日本ではグアヒーラの踊りバックの時の、最後の明るいブレリアの部分で使われるカンテとして知られています。
 


 
でも、実は現在スペインではグアヒーラの踊りでコロンビアーナを使う習慣はないんです。グアヒーラの踊りでは、あくまでもグアヒーラのカンテが使われます。
(カルメン・アマジャが今から60年ほど前に、コロンビアーナをグアヒーラの 踊りの中でブレリアのリズムで使ったという記録は残っていますが、その時のみのようです。)
 


 
グアヒーラのカンテって実は3番まであるってご存知ですか?
3番まであるグアヒーラを使えば、コロンビアーナは必要ないんですよね。
 


 
では、コロンビアーナってどんなカンテなのかついて、お話ししていきたいと思います。
 


 
コロンビアーナは4拍子のリズムを持つ、明るくかわいらしいカンテです。
 
その名前の通り、中南米(コロンビア)風なメロディをしているのですが、実はスペインでコロンビアを夢見て作られたカンテなんです。
 


 
日本ではあまりカンテソロでコロンビアーナを聞くことはないですよね?
それにスペイン人フラメンコ歌手のCDにも、コロンビアーナが入っていることは少ないと思います。
 


 
ただ今から70年以上前、1950年ごろのフラメンコ歌手は、コロンビアーナを好んで歌っていました。
 
というのも、当時フラメンコ歌手は声の綺麗な人が多く活躍していて、コロンビアーナはその可憐なメロディを表現するのに透き通った軽やかな声が似合いますし、この時代は明るいカンテが暗いカンテより好まれていたので、コロンビアーナは人気曲だったようです。
 


 
その後、フラメンコは政治的な影響もあって暗めのカンテが多く歌われるようになり、同時にコロンビアーナはあまり歌われなくなっていきました。
 


 
ところで、現在のスペインでは、コロンビアーナは新人フラメンコ歌手がよく歌うカンテだってご存知ですか?
 


 
スペインではフラメンコ歌手のデビューは、早い人だとなんと 7歳 くらいなんです!
 
私の師匠のナランヒート・デ・トリアーナも7歳の頃には全国ツアーを回っていたそうですし、留学当時のクラスメイト、現在はニーニャ・デ・タラベナとして知られているフラメンコ歌手のフェリッサ・ゴンザレスも、デビューは7歳の時だったそう。
 


 
フェリッサの7歳の時のファーストアルバムをご本人から頂いたのですが、そこにもコロンビアーナがしっかり入っていました。
 
本人に聞いてみると、幼くしてデビューするフラメンコ歌手は、コロンビアーナをアルバムに入れるのが一般的なんだそう。
 
やはり透明感のある声が似合うカンテなので、子どもの透き通った声にぴったりなんですって。
 


 
では、実際にどう表現するといいのかというと、、、
 
バイレは、日本ではグアヒーラの後半に出てくるカンテですので、グアヒーラの持つもの悲しい雰囲気を払しょくするほど、明るく爽やかに踊って頂きたいですね。
 
ステップもなるべく軽やかに踏んでください。もちろん顔は笑顔ですよ。
 


 
では、歌う時は、
 
”コロンビアーナを歌う時は、自分がアルプスの少女ハイジになったと思うといいのよ!”
 


 
これ留学時のカンテのクラスメイト達の弁なんですけど、私はこれ以上の言葉を知りません。
 
街中にいる気持ちではなく、お山の広い芝生の上でスキップをしているように歌うっとことだそう♪
 


 
なかなか気分が乗らない時は、最初に ペーターって叫ぶといいそうです。笑
 
もちろん、これもクラスメイト達のアドバイスでした。
(日本のアニメ<アルプスの少女ハイジ>はスペインでは今も子供たちに愛されている定番アニメです。地上波でも繰り返し放送されていますし、ケーブルTVやネットでは人気のコンテンツになっています。)
 
 
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久しぶりに各パロごとの表現に戻って、今回はロメラをご紹介しましょう。
 
ロメラは、アレグリアスの仲間の12拍子のカンテです。実は、アレグリアスの仲間で一番古いのがこのロメラと言われています。
 


 
昔からあるということは、古くからあるカンテの特徴があると言うこと。
 
では、古くからあるカンテの特徴を少しご紹介しましょ。
 


 
まず第1に、メロディは比較的シンプルであるということ。
 
そして、2番目に1小節の拍数が必ずしも均一ではないということ。
 


 
ロメラは基本的に12拍子なんですが、実は小節によっては9拍になったり6拍になったりするんです。
 
アレグリアスのグループのカンテのリズムが、12拍でなくなるって??? とびっくりされた方も多いと思います。
 


 
実は、カンテのリズムは完全に各小節の拍数が同じと言う訳ではなく、4拍子の場合は、時々2拍子が混ざったり、12拍の場合は、1小節の拍数が3拍単位で短くなり、9拍や6拍になることがよくあるんです、
 


 
ただ踊りバックで使われるカンテは、基本的に1小節の拍数は一定です。
 
もし一定ではないカンテを踊りバックに使うなら、歌い手が調節して1小節12拍や4拍ずつに揃えることになります。
 


 
ちなみに1小節の拍数を少なくする理由は、カンテのメロディがその方がおさまりがよく、12拍や4拍にすると間延びしてしまうからなんです。
 
カンテはあくまでもメロディを聞いてもらう歌なので、メロディを生かす為に、1小節の拍数を調整することは当たり前なんですよね。
 


 
そうやって何拍かカットして歌うことを リガオ といいます。
(実際にリガオするかどうかは歌い手の自由で、メロディにアレンジを加えることで拍数を調節してもいいことになっています。)
 


 
ロメラは、このリガオがよく使われるカンテなんです。
(リガオはアレンジと並んでフラメンコ歌手の大事な技術のひとつです。)
 


 
では、ロメラという曲種の具体的なご紹介に入りましょう。
 
まずロメラという言葉の意味ですが、もともとは月桂樹の葉のことを指します。日本ではローリエというほうが馴染みがありますよね。
 
スペインでは巡礼者が月桂樹の葉を編んだものを頭にかぶる習慣があって、それで巡礼者のこともロメラと言うようになりました。
 


 
ロメラはその名前のとおり、カトリック色の強いカンテで、よく歌われている歌詞の多くは、カトリックの信仰心を表した内容となっています。
 


 
日本には元々クリスチャンが少ないですし、特にフラメンコアーティストにはほとんどいないので、歌詞の意味を理解するのはなかなか難しいと思います。
(クラシックやヒップホップのアーティストにはわりと沢山いるんですよ。)
 
ただ信仰の有無は別として、カンテを志す方には最低限のキリスト教の知識はあったほうがいいと私は個人的には思っています。
 


 
スペインにはクリスチャンでないとカンテは教えないと言う先生も多いのですが、洗礼は受けていないけれど、キリスト教を学んでいますと答えれば大丈夫な場合も多いんですよね。
 


 
それに、スペイン語には聖書の中に出てくるお話がそのまま慣用句になった表現も多く、特にフラメンコの歌詞は、他のどんな音楽ジャンルよりもキリスト教色が強いので、歌詞の意味を間違えて捉えないで済むように、キリスト教、特にアンダルシア独特のカトリックの知識は必要不可欠なんです。
 


 
スペインに行くと、子ども向きのキリスト教の解説書などが沢山売られています。子ども向けなので、初級レベルのスペイン語力でも読みこなすことは可能です。ぜひ怖がらずにトライしてみてください。
 


 
私もクリスチャンとはいえプロテスタントなので、アンダルシア独特のカトリックを理解するのはかなり大変でした。
 
でも、学んでみるとわかるのですが、スペイン人の基本的な考え方って、スペイン独自のカトリックの考え方がベースになっているんですよね。
 
スペイン人を理解するうえでも、とっても有益だと思います。
 


 
最後になりますが、ロメラを表現するには歌詞の背景を理解し、信仰心を表すような清々しい歌い方があっていると思いますので、あまり余計なアレンジは加えずストレートに、声もなるべくしゃがれさせずに澄んだ声でのびやかに歌いましょう。
 
そして、リズムを意識しすぎることなく、美しいメロディをそのまま素直に表現してください。
 
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