コラム
カンテの基礎知識

 
153回 カンテを学ぶということー15

2021年4月25日アップ

前回はマラゲーニャなどのカンテに使われる5行詩8音節をご紹介しました。
 
8音節の歌詞は、3行、4行、5行でおしまいなんですが、
それ以外にも、フラメンコの歌詞にはいくつかの独自の形式があります。
 
今日はその中から、ディシマと呼ばれる10行詩をご紹介しましょう。
 
10行詩を使って歌うカンテは、ずばりグアヒーラ!
(スペインでの発音はガヒーラ)
 
中南米の音楽の影響を受けているカンテとして知られているグアヒーラですが、
歌詞も中南米でよく使われている10行詩を用います。
 
実際にグアヒーラはスペイン本土で産まれたことが今ではわかっていますが、
南米の雰囲気を持った歌は、フラメンコに限らず、
今でもスペインで人気があります。
 
ところで、この10行詩のディシマ、
グアヒーラ以外のカンテでは使われないので、
よく知られている歌詞もかなり少なく、
特に日本では聞く機会が少ないと思います。
 
では、今回も一例として師匠のナランヒートが作詞した詩をご紹介しましょう。
 
   Cuba es una tierra hermosa,
   Lugar de mucho dinero
   pero no existe el salero
   Que en esta tierra grandiosa.
   Espan'a siemple orgullosa
   De alegri'a y de pasio'n.
   Hasta a un negro he visto
   Poner su cara llorosa
   Diciendo - mujer hermosa
   La que tiene el espan'ol-.
 
師匠はこの10行詩を普通のグアヒーラに、
そしてタンゴ・グアヒーラにも載せて歌っていました。
 
今までの短い歌詞とは違って、10行詩の場合は、
繰り返しはしないで、そのまま10フレーズに合わせて歌います。
 
では、この詩も音節ごとに分けてみましょう。
(この歌詞もかなりの字余りがあります。)
 
   (Cu) (ba- es) (una) (tie) (rra) (her) (mo) (sa)
   (Lu) (gar) (de) (mu) (cho) (di) (ne) (ro)
   (pe-ro) (no) (exis) (te) (el) (sa) (le) (ro)
   (Que) (en-es) (ta) (tie) (rra) (grandi) (o) (sa)
   (Es) (pa) (n'a) (si-em) (ple) (or-gu) (llo) (sa)
   (De) (a-le) (gri') (a-y) (de) (pa) (si) (o'n)
   (Has) (ta-a) (un) (neg) (ro) (he) (vis) (to)
   (Po) (ner) (su) (ca) (ra) (llo) (ro) (sa)
   (Di) (cien) (do) (mu) (jer) (her) (mo) (sa)
   (La) (que) (ti) (e) (ne-el) (es) (pa) (n'ol)
   
この歌詞でも字余りの部分をどう歌うのかわかるように、
その部分はひとつの( )におさめてみました。
 
スペイン語が読める方は、ぜひ音読してみてください。
いかにもアンダルシアらしい発音になっていることに気が付くと思います。
 
以上のように、10行詩ディッシマはグアヒーラにしか使われないので、
同じような雰囲気でも、アレグリアスなどと使いまわすことはできません。
 
もちろん、もともとカンテ自体の長さがぜんぜん違うので、
歌詞を使いまわすことは無理なんですよね。
 
バイレの場合も、アレグリアスなどの歌振りの長さと、
グアヒーラの歌振りの長さはぜんぜん違うのと一緒です。
 
また、グアヒーラはファンダンゴのリズム
(頭アクセントの3拍子が4つの12拍子)なので、
その点でも、フラメンコの中では特殊な曲種と言えると思います。
 
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前回はマラゲーニャなどのカンテに使われる5行詩8音節をご紹介しました。
 
8音節の歌詞は、3行、4行、5行でおしまいなんですが、それ以外にも、フラメンコの歌詞にはいくつかの独自の形式があります。
 


 
今日はその中から、ディシマと呼ばれる10行詩をご紹介しましょう。
10行詩を使って歌うカンテは、ずばりグアヒーラ!(スペインでの発音はガヒーラ)
 


 
中南米の音楽の影響を受けているカンテとして知られているグアヒーラですが、歌詞も中南米でよく使われている10行詩を用います。
 
実際にグアヒーラはスペイン本土で産まれたことが今ではわかっていますが、南米の雰囲気を持った歌は、フラメンコに限らず、今でもスペインで人気があります。
 


 
ところで、この10行詩のディシマ、グアヒーラ以外のカンテでは使われないので、よく知られている歌詞もかなり少なく、特に日本では聞く機会が少ないと思います。
 


 
では、今回も一例として師匠のナランヒートが作詞した詩をご紹介しましょう。
 
   Cuba es una tierra hermosa,
   Lugar de mucho dinero
   pero no existe el salero
   Que en esta tierra grandiosa.
   Espan'a siemple orgullosa
   De alegri'a y de pasio'n.
   Hasta a un negro he visto
   Poner su cara llorosa
   Diciendo - mujer hermosa
   La que tiene el espan'ol-.
 


 
師匠はこの10行詩を普通のグアヒーラに、そしてタンゴ・グアヒーラにも載せて歌っていました。
 
今までの短い歌詞とは違って、10行詩の場合は、繰り返しはしないで、そのまま10フレーズに合わせて歌います。
 


 
では、この詩も音節ごとに分けてみましょう。(この歌詞もかなりの字余りがあります。)
 
(Cu) (ba- es) (una) (tie) (rra) (her) (mo) (sa)
(Lu) (gar) (de) (mu) (cho) (di) (ne) (ro)
(pe-ro) (no) (exis) (te) (el) (sa) (le) (ro)
(Que) (en-es) (ta) (tie) (rra) (grandi) (o) (sa)
(Es) (pa) (n'a) (si-em) (ple) (or-gu) (llo) (sa)
(De) (a-le) (gri') (a-y) (de) (pa) (si) (o'n)
(Has) (ta-a) (un) (neg) (ro) (he) (vis) (to)
(Po) (ner) (su) (ca) (ra) (llo) (ro) (sa)
(Di) (cien) (do) (mu) (jer) (her) (mo) (sa)
(La) (que) (ti) (e) (ne-el) (es) (pa) (n'ol)
 


  
この歌詞でも字余りの部分をどう歌うのかわかるように、その部分はひとつの( )におさめてみました。
 
スペイン語が読める方は、ぜひ音読してみてください。いかにもアンダルシアらしい発音になっていることに気が付くと思います。
 


 
以上のように、10行詩ディッシマはグアヒーラにしか使われないので、同じような雰囲気でも、アレグリアスなどと使いまわすことはできません。
 


 
もちろん、もともとカンテ自体の長さがぜんぜん違うので、歌詞を使いまわすことは無理なんですよね。
 
バイレの場合も、アレグリアスなどの歌振りの長さと、グアヒーラの歌振りの長さはぜんぜん違うのと一緒です。
 


 
また、グアヒーラはファンダンゴのリズム(頭アクセントの3拍子が4つの12拍子)なので、その点でも、フラメンコの中では特殊な曲種と言えると思います。
 
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