コラム
カンテの基礎知識

 
152回 カンテを学ぶということー14

2021年4月18日アップ

前回はカンテの歌詞の形式で一番よく使われる4行詩8音節をご紹介しました。
今回は、もうちょっと長い5行詩8音節についてお話ししたいと思います。
 
3行詩、4行詩、5行詩とこれで8音節を使う基本の長さは
コンプリートとなります。
 
5行詩8音節の歌詞を使うカンテは、ファンダンゴ系のカンテたち。
マラゲーニャ、グラナイーナ、タラント、タランタなどの
ファンダンゴナチュラルのカンテ達がその代表です。
 
もちろん、前回までと同じように 歌詞の長さが8音節ずつの 88888
となることは一緒です。
 
前回までに繰り返しお話ししたように、
スペイン語はもともとの言葉のリズムが8音節がおさまりがよいので、
1行が8音節の詩が多いんです。
 
歌詞の多さに関しては、前回ご紹介した4行詩8音節の方が多いんですが、
フラメンコの最重要曲はもちろんマラゲーニャなので、
この5行詩にも、歴史的に素晴らしい歌詞が揃っています。
 
では、今回も一例として師匠のナランヒートが作詞した詩をご紹介しましょう。
 
   Cuando con otra te vi'
   yo no supe lo que hacer
   de momento me pare'
   y alli me puse a reir
   luego en mi casa llore'
 
師匠はこの歌詞を、グラナイーナのメロディに乗せて歌っていました。
 
この詩を実際にグラナイーナのメロディにのせて歌う場合、
グラナイーナのメロディにはフレーズが6つあるので、
まず最初の2行の歌詞をそのまま歌ってから、1行目をもう一度歌って、
その後で3行目、4行目、5行目を歌うことになります。
 
もちろん同じファンダンゴナチュラル系の他の曲種にのせて
歌ってもいいのですね。
歌詞の内容的にもマラゲーニャにもあうと思います。
 
では、この詩も音節ごとに分けてみましょう。
 
   (Cuan) (do) (con) (ot) (ra) (te) (vi')
   (yo) (no) (su) (pe) (lo) (que) (ha) (cer)
   (de) (e) (mo) (men) (to) (me) (pa) (re')
   (y-a) (lli) (me) (pu) (se) (a) (re) (ir)
   (lue) (go) (en) (mi) (ca) (sa) (llo) (re')
 
それぞれ8個に分けたのですが、4行目の (y-a)は、
ひとつのカッコの中に音節が複数入っています。
また、3行目の最初の de は 長く伸ばして歌うので、
de と e の二つの分けています。
 
これ、どちらも間違えじゃなくて、
この歌詞、日本語の短歌や俳句によくあるように、字余りと字足らずなんです。
 
その字余りをどこかの音にまとめて入れて歌うことで、
その部分がリズミカルになりますし、
字足らずを複数の音節にして歌うことで、
よりメロディが強調されたりします。
 
このように、歌詞をわざと字余りにしたり、
逆に字足らずにしたりすることで、
カンテに独特のリズムを付けたすこともありますし、
取りあえず歌詞は8音節で作詞しておいて、
実際に歌う時に歌手自身が歌詞をアレンジして、
音節数を調節することも、フラメンコ歌手がよく行うことなんですよ。
 
もし歌詞付きのCDなどお持ちでしたら、
歌詞1行の音節数を数えてみてください。
きっと 8音節の歌詞が多いことに気が付くと思います。
 
音節数の数え方ですが、
基本的には母音ひとつで1音節と考えるとわかりやすいですね。
(スペイン語の場合、母音は A I U E O と Y です。
 複数の母音をひとつの音として発音することもありますので、
 詳しくはスペイン語の教科書に必ず載っている発音の説明を見てください。
 又は辞書で該当の言葉をひくと、音節毎に区切られた発音が載っています。)
 
ちなみに、詩の1行が8音節と言うのは、
フラメンコの歌詞だけに限ることではなく、
スペイン語の一般的はポップスの歌詞や、
古くからある詩集に入っている詩などでも
よくみられる形式ですので、色々探してみると面白いですね。
 
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前回はカンテの歌詞の形式で一番よく使われる4行詩8音節をご紹介しました。今回は、もうちょっと長い5行詩8音節についてお話ししたいと思います。
 


 
3行詩、4行詩、5行詩とこれで8音節を使う基本の長さはコンプリートとなります。
 


 
5行詩8音節の歌詞を使うカンテは、ファンダンゴ系のカンテたち。マラゲーニャ、グラナイーナ、タラント、タランタなどのファンダンゴナチュラルのカンテ達がその代表です。
 


 
もちろん、前回までと同じように 歌詞の長さが8音節ずつの 88888となることは一緒です。
 
前回までに繰り返しお話ししたように、スペイン語はもともとの言葉のリズムが8音節がおさまりがよいので、1行が8音節の詩が多いんです。
 


 
歌詞の多さに関しては、前回ご紹介した4行詩8音節の方が多いんですが、フラメンコの最重要曲はもちろんマラゲーニャなので、この5行詩にも、歴史的に素晴らしい歌詞が揃っています。
 


 
では、今回も一例として師匠のナランヒートが作詞した詩をご紹介しましょう。
 
Cuando con otra te vi'
yo no supe lo que hacer
de momento me pare'
y alli me puse a reir
luego en mi casa llore'
 
師匠はこの歌詞を、グラナイーナのメロディに乗せて歌っていました。
 


 
この詩を実際にグラナイーナのメロディにのせて歌う場合、グラナイーナのメロディにはフレーズが6つあるので、まず最初の2行の歌詞をそのまま歌ってから、1行目をもう一度歌って、その後で3行目、4行目、5行目を歌うことになります。
 


 
もちろん同じファンダンゴナチュラル系の他の曲種にのせて歌ってもいいのですね。歌詞の内容的にもマラゲーニャにもあうと思います。
 


 
では、この詩も音節ごとに分けてみましょう。
 
(Cuan) (do) (con) (ot) (ra) (te) (vi')
(yo) (no) (su) (pe) (lo) (que) (ha) (cer)
(de) (e) (mo) (men) (to) (me) (pa) (re')
(y-a) (lli) (me) (pu) (se) (a) (re) (ir)
(lue) (go) (en) (mi) (ca) (sa) (llo) (re')
 


 
それぞれ8個に分けたのですが、4行目の (y-a)は、ひとつのカッコの中に音節が複数入っています。また、3行目の最初の de は 長く伸ばして歌うので、de と e の二つの分けています。
 


 
これ、どちらも間違えじゃなくて、この歌詞、日本語の短歌や俳句によくあるように、字余りと字足らずなんです。
 


 
その字余りをどこかの音にまとめて入れて歌うことで、その部分がリズミカルになりますし、字足らずを複数の音節にして歌うことで、よりメロディが強調されたりします。
 


 
このように、歌詞をわざと字余りにしたり、逆に字足らずにしたりすることで、
カンテに独特のリズムを付けたすこともありますし、取りあえず歌詞は8音節で作詞しておいて、実際に歌う時に歌手自身が歌詞をアレンジして、音節数を調節することも、フラメンコ歌手がよく行うことなんですよ。
 


 
もし歌詞付きのCDなどお持ちでしたら、歌詞1行の音節数を数えてみてください。きっと 8音節の歌詞が多いことに気が付くと思います。
 


 
音節数の数え方ですが、基本的には母音ひとつで1音節と考えるとわかりやすいですね。
(スペイン語の場合、母音は A I U E O と Y です。複数の母音をひとつの音として発音することもありますので、詳しくはスペイン語の教科書に必ず載っている発音の説明を見てください。又は辞書で該当の言葉をひくと、音節毎に区切られた発音が載っています。)
 


 
ちなみに、詩の1行が8音節と言うのは、フラメンコの歌詞だけに限ることではなく、スペイン語の一般的はポップスの歌詞や、古くからある詩集に入っている詩などでもよくみられる形式ですので、色々探してみると面白いですね。
 
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