コラム
カンテの基礎知識
フラメンコの基礎知識
(6)カンテとバイレの関係<カンテとの最初の合わせ>
前回は曲種の決め方のお話しをしました。
今回はその次のカンテさんとの最初の合わせのお話しをしたいと思います。
カンテのバイレの関係の総論の時に、以下のように紹介した部分ですね。
2)本番当日歌ってもらう予定のカンテさんに来てもらって、
踊る予定の曲種を歌ってもらって録音します。
(ひとつの曲種に複数のメロディがある場合は、
そのカンテさんが知っている限り全部歌ってもらうことが多いようです。)
(場合によっては、その場で歌に合わせて少し踊って見たりもします。)
では、早速今回の部分に入りましょう。
(1)で決めた大雑把な曲種をカンテさんに伝えたら、
カンテさんに来て歌ってもらう(2)に進みます。
実際には、カンテさんが来た時に、曲種名を伝える事が一般的です。
(あえて、あまり踊られることのないカンテをお願いする場合は、
前もって曲種名を連絡しておく場合もあります。)
前回の説明にもありましたが、たとえばソレアを踊りたいとしましょう。
ソレアで一番一般的に踊られているのは、
スペインではソレア・デ・カディスです。
私がここ10年ほどの間に、現地スペインで見たソレアのバイレの90%くらいは
ソレア・デ・カディスが歌われていたと思います。
というのも、ソレアの中でもソレア・デ・カディスは、
メロディもシンプルですし、
メロディの各フレーズが、12拍の中に綺麗に納まっているので、
振りを12拍単位(1コンパスの単位)で作って行けば、
カンテとはずれてしまうことはありません。
それに引き換え、
カンテとしてソレアで一番人気があるソレア・デ・トリアーナは、
メロディの各フレーズの長さがまちまちで、
ひとつのフレーズが12拍の中に納まりきれずに2コンパスにわたっていたり、
1フレーズが18拍になっている部分もあるので、振り付けも複雑になりますし、
カンテの自由度が高い分、踊り手の力量がかなり必要になるでしょう。
注:ここで言う<カンテの自由度が高い>とはどういうことかと言うと、
カンテが即興的にアレンジをくわえたときに、
1フレーズの長さ自体も様々に変わってしまうことを指します。
これがソレア・デ・トリアーナの人気の秘密でもあるんですが、
そうなると、踊り手の対応にはかなりの即興力を必要とします。
ソレア・デ・カディスは、どんなにアレンジを加えても、
基本的に12拍単位で歌われるので、その分対応がしやすくなります。
ちなみに、同じソレア・デ・カディスでも複数のメロディがありますので、
カンテさんは、自分がレパートリーにしているメロディを全部披露して、
踊り手さんはその中のどれを本番では歌ってほしいのかを
リクエストするのが一般的です。
実は、ソレアには全部で27のメロディがあると言われています。
(フラメンコ学者によって、多少数に違いがあるのが現状です。)
本来は、カンテさんは当日
その中のどのソレアを歌ってもいいことになっています。
タブラオやペーニャなどの、比較的小さなスペースでの公演の場合は、
カンテさんがいきなりレアなソレアを歌ったりすることもあって、
それも観客の楽しみのひとつとなっているのですが、
大きな劇場公演などの時は、
たとえソロのバイレでも前もってきちんと決めることが多く、
そのカンテに合わせて、バックも凝ったアレンジをくわえたり、
そのカンテのメロディに呼応したファルセータを
ギタリストが弾いたりすることで、
より音楽性の高い演目へと仕上げて行きます。
最近は、バックが多くの楽器の合奏をバンド形式でつとめることが一般的で、
その中の音楽監督を担う人が前もってアレンジを考え、
各演奏者に指示を出すことが多くなりました。
特に大きな劇場公演になると、かなり演奏も作りこむようになって、
即興性はその分薄くなっていると思います。
その代わりに、公演の最後に完全に即興でブレリアやタンゴを演奏し、
即興の楽しさも観客に味わってもらう工夫をしているようです。
という訳で、カンテさんは指定の曲種の中から、
踊りバックに向きそうなメロディを選んでいくつか歌って、
それを踊り手さんが録音して、次に段階に進みます。
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今回はその次のカンテさんとの最初の合わせのお話しをしたいと思います。
カンテのバイレの関係の総論の時に、以下のように紹介した部分ですね。
2)本番当日歌ってもらう予定のカンテさんに来てもらって、踊る予定の曲種を歌ってもらって録音します。
(ひとつの曲種に複数のメロディがある場合は、そのカンテさんが知ってい限り全部歌ってもらうことが多いようです。)
(場合によっては、その場で歌に合わせて少し踊って見たりもします。)
では、早速今回の部分に入りましょう。
(1)で決めた大雑把な曲種をカンテさんに伝えたら、カンテさんに来て歌ってもらう(2)に進みます。
実際には、カンテさんが来た時に、曲種名を伝える事が一般的です。
(あえて、あまり踊られることのないカンテをお願いする場合は、 前もって曲種名を連絡しておく場合もあります。)
前回の説明にもありましたが、たとえばソレアを踊りたいとしましょう。
ソレアで一番一般的に踊られているのは、スペインではソレア・デ・カディスです。
私がここ10年ほどの間に、現地スペインで見たソレアのバイレの90%くらいはソレア・デ・カディスが歌われていたと思います。
というのも、ソレアの中でもソレア・デ・カディスは、メロディもシンプルですし、メロディの各フレーズが、12拍の中に綺麗に納まっているので、振りを12拍単位(1コンパスの単位)で作って行けば、カンテとはずれてしまうことはありません。
それに引き換え、カンテとしてソレアで一番人気があるソレア・デ・トリアーナは、メロディの各フレーズの長さがまちまちで、ひとつのフレーズが12拍の中に納まりきれずに2コンパスにわたっていたり、1フレーズが18拍になっている部分もあるので、振り付けも複雑になりますし、カンテの自由度が高い分、踊り手の力量がかなり必要になるでしょう。
注:ここで言う<カンテの自由度が高い>とはどういうことかと言うと、カンテが即興的にアレンジをくわえたときに、1フレーズの長さ自体も様々に変わってしまうことを指します。これがソレア・デ・トリアーナの人気の秘密でもあるんですが、そうなると、踊り手の対応にはかなりの即興力を必要とします。
ソレア・デ・カディスは、どんなにアレンジを加えても、基本的に12拍単位で歌われるので、その分対応がしやすくなります。
ちなみに、同じソレア・デ・カディスでも複数のメロディがありますので、カンテさんは、自分がレパートリーにしているメロディを全部披露して、踊り手さんはその中のどれを本番では歌ってほしいのかをリクエストするのが一般的です。
実は、ソレアには全部で27のメロディがあると言われています。
(フラメンコ学者によって、多少数に違いがあるのが現状です。)
本来は、カンテさんは当日その中のどのソレアを歌ってもいいことになっています。
タブラオやペーニャなどの、比較的小さなスペースでの公演の場合は、カンテさんがいきなりレアなソレアを歌ったりすることもあって、それも観客の楽しみのひとつとなっているのですが、大きな劇場公演などの時は、たとえソロのバイレでも前もってきちんと決めることが多く、そのカンテに合わせて、バックも凝ったアレンジをくわえたり、そのカンテのメロディに呼応したファルセータをギタリストが弾いたりすることで、より音楽性の高い演目へと仕上げて行きます。
最近は、バックが多くの楽器の合奏をバンド形式でつとめることが一般的で、その中の音楽監督を担う人が前もってアレンジを考え、各演奏者に指示を出すことが多くなりました。
特に大きな劇場公演になると、かなり演奏も作りこむようになって、即興性はその分薄くなっていると思います。
その代わりに、公演の最後に完全に即興でブレリアやタンゴを演奏し、即興の楽しさも観客に味わってもらう工夫をしているようです。
という訳で、カンテさんは指定の曲種の中から、踊りバックに向きそうなメロディを選んでいくつか歌って、それを踊り手さんが録音して、次に段階に進みます。
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