コラム
カンテの基礎知識
各パロ(曲種)ごとの表現(12)タンギージョ
今回の曲種の表現は、前回のファンダンゴ・デ・ウエルバと並んで、
フラメンコの踊りの初心者クラスでよく踊られているタンギージョを
取り上げたいと思います。
タンギージョは、お察しのとおり?タンゴを語源とした言葉です。
タンゴの最後に、イージョ という縮小詞がついたものなんですが、
縮小詞がつくと、元の言葉のちっちゃいのとか、かわいいのとかの意味になり、
親しみがこもった感じになるんです。
たとえば、ホセという名前に縮小詞をつけると ホセリート、
フアンならファニートとなり、
芸名に縮小詞を付けている人が多いことにも気付くと思います。
日本でいう、北島三郎さんが さぶちゃん って感じですね♪
つまり、タンギージョは ちびタンゴ や タンゴっち みたいな感じで、
あまりシリアスな言葉ではなく、もちろんフラメンコのカンテでもありません。
というのも、もともとタンギージョはカディス地方の民謡で、
メロディも日本で知られている以外にもいくつかあると言われています。
誰にでもわかりやすく、親しみやすいメロディなので、多くの歌詞で歌われ、
特にカディスの良さを歌った歌詞が人気があるようです。
それまでカディスの民謡として歌われてきたタンギージョが
全国区になったのは、今から60年くらい前に、
ローラ・フローレが歌って大ヒットしたのがきっかけでした。
4拍子の軽快なリズムと、カディスの踊り子さんを歌うかわいらしい歌詞と
振り付けで、当時の女子の達はこぞって物まねしたそうです。
当時の振り付けを、現在80代(当時)のお嬢さんから教えて貰ったんですが、
私世代が子供の頃覚えたピンクレディの振り付けを今でも踊れるように、
とっても楽しそうに1曲すべての振り付けを踊って見せてくれました。
踊って見せてくれたと言っても、この歌をローラ・フローレは座って歌ったので、
振り付けはあくまでも上半身のみ、足はじっとしたまんまなんですよ。
実は、もともとスペインではタンギージョを踊る習慣はなく、
子供用のダンス教室で、先生が振りつけたものをたまに見かけるくらいなんです。
ただ、今から50年ほど前に、アンダルシア舞踊団が来日した際に、
アンダルシア各地の民謡を紹介するコーナーで、タンギージョも踊ったことで、
日本に踊りが広まったと言われています。
ですから、ファンダンゴ・デ・ウエルバと同じように、このタンギージョも、
スペインのフラメンコの踊りの教室で取り上げられることはなく、
踊られるとしても、フラメンコではなく一般のキッズ用ダンス教室くらいでしょう。
ちなみに、このキッズ用ダンス教室ではセビジャーナスもよく踊られ、
大規模なコンクールもあちこちのお祭り内のイベントとして開かれています。
では、実際に表現する場合のお話しに入りましょう。
歌う場合の表現なんですが、
子供がよく踊るからと言って、
決して子供っぽくならないように気を付けてください。
外連味(けれんみ)たっぷりな粋なお姉さんの雰囲気が出せるといいと思います
大人の女性があえてちょっと軽い歌を小粋に歌ってますよって感じ、
あれです、あれ。
軽さが身上の歌ですから、声もあまりしゃがれさせたり、張り上げたりせず、
さらっと滑舌よく歌うといいでしょう。
ただ、軽く歌おうとするあまりに、走って速くなってしまう事だけは、
充分に注意してください。
楽しく歌っているうちに徐々に速くなっていって、
気が付いたらもうどうにもならないくらいのスピードにたっしてしまい、
ぜいぜいしたりしては、せっかくの楽しい歌が台無しです。
速くならないコツは、フレーズとフレーズの間の休符(お休み)の部分で、
丁寧にしっかりと間を開ける事です。
間がつまってしまうと、伴奏者もどんどん速くせざるを得なくなります。
踊りに関しても、一番のポイントは速くならない事。
歌振りが楽しくって、踊りながらどんどん速くなってしまう方を
ときどき見かけますが、後半の足の部分でついて行かれなくなって、
もつれちゃっておっとっとって。
歌う場合と同じように、速くならないようするには、
歌の間もしっかりタメを作って、
リズムをキープするように気を付けてください。
踊る場合の表現のポイントは、カディスの明るさや開放感を出すこと。
特に表情は思いっきりの笑顔で、額の縦じわは禁止です。
そして、馬の足元を真似るステップが含まれている時は、
よく訓練された馬場馬術用の馬のショーのように、
みんなで足をしっかり揃えて、お互い確認しあいながら踊るといいでしょう。
興味のある方は、へレスの馬術学校のショーの模様が
ネットに上がっていますので、参考にしてください。
4分すぎあたりから隊列を組んでいる所が見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=iGE7sGyEJmE
足元を揃えるコツも、実は速くならない事なんです。
自分達でちゃんと管理できるスピードで踊ることが、
タンギージョを上手に踊る一番の近道です。
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今回の曲種の表現は、前回のファンダンゴ・デ・ウエルバと並んで、フラメンコの踊りの初心者クラスでよく踊られているタンギージョを取り上げたいと思います。
タンギージョは、お察しのとおり?タンゴを語源とした言葉です。
タンゴの最後に、イージョ という縮小詞がついたものなんですが、縮小詞がつくと、元の言葉のちっちゃいのとか、かわいいのとかの意味になり、親しみがこもった感じになるんです。
たとえば、ホセという名前に縮小詞をつけると ホセリート、フアンならファニートとなり、芸名に縮小詞を付けている人が多いことにも気付くと思います。
日本でいう、北島三郎さんが さぶちゃん って感じですね♪
つまり、タンギージョは ちびタンゴ や タンゴっち みたいな感じで、あまりシリアスな言葉ではなく、もちろんフラメンコのカンテでもありません。
というのも、もともとタンギージョはカディス地方の民謡で、メロディも日本で知られている以外にもいくつかあると言われています。誰にでもわかりやすく、親しみやすいメロディなので、多くの歌詞で歌われ、特にカディスの良さを歌った歌詞が人気があるようです。
それまでカディスの民謡として歌われてきたタンギージョが全国区になったのは、今から60年くらい前に、ローラ・フローレが歌って大ヒットしたのがきっかけでした。
4拍子の軽快なリズムと、カディスの踊り子さんを歌うかわいらしい歌詞と振り付けで、当時の女子の達はこぞって物まねしたそうです。
当時の振り付けを、現在80代(当時)のお嬢さんから教えて貰ったんですが、私世代が子供の頃覚えたピンクレディの振り付けを今でも踊れるように、とっても楽しそうに1曲すべての振り付けを踊って見せてくれました。
踊って見せてくれたと言っても、この歌をローラ・フローレは座って歌ったの、
振り付けはあくまでも上半身のみ、足はじっとしたまんまなんですよ。
実は、もともとスペインではタンギージョを踊る習慣はなく、子供用のダンス教室で、先生が振りつけたものをたまに見かけるくらいなんです。
ただ、今から50年ほど前に、アンダルシア舞踊団が来日した際に、アンダルシア各地の民謡を紹介するコーナーで、タンギージョも踊ったことで、日本に踊りが広まったと言われています。
ですから、ファンダンゴ・デ・ウエルバと同じように、このタンギージョも、スペインのフラメンコの踊りの教室で取り上げられることはなく、踊られるとしても、フラメンコではなく一般のキッズ用ダンス教室くらいでしょう。
ちなみに、このキッズ用ダンス教室ではセビジャーナスもよく踊られ、大規模なコンクールもあちこちのお祭り内のイベントとして開かれています。
では、実際に表現する場合のお話しに入りましょう。
歌う場合の表現なんですが、子供がよく踊るからと言って、決して子供っぽくならないように気を付けてください。
外連味(けれんみ)たっぷりな粋なお姉さんの雰囲気が出せるといいと思います。大人の女性があえてちょっと軽い歌を小粋に歌ってますよって感じ、あれです、あれ。
軽さが身上の歌ですから、声もあまりしゃがれさせたり、張り上げたりせず、さらっと滑舌よく歌うといいでしょう。
ただ、軽く歌おうとするあまりに、走って速くなってしまう事だけは、充分に注意してください。
楽しく歌っているうちに徐々に速くなっていって、気が付いたらもうどうにもならないくらいのスピードにたっしてしまい、ぜいぜいしたりしては、せっかくの楽しい歌が台無しです。
速くならないコツは、フレーズとフレーズの間の休符(お休み)の部分で、丁寧にしっかりと間を開ける事です。間がつまってしまうと、伴奏者もどんどん速くせざるを得なくなります。
踊りに関しても、一番のポイントは速くならない事。歌振りが楽しくって、踊りながらどんどん速くなってしまう方をときどき見かけますが、後半の足の部分でついて行かれなくなって、もつれちゃっておっとっとって。
歌う場合と同じように、速くならないようするには、歌の間もしっかりタメを作って、リズムをキープするように気を付けてください。
踊る場合の表現のポイントは、カディスの明るさや開放感を出すこと。特に表情は思いっきりの笑顔で、額の縦じわは禁止です。
そして、馬の足元を真似るステップが含まれている時は、よく訓練された馬場馬術用の馬のショーのように、みんなで足をしっかり揃えて、お互い確認しあいながら踊るといいでしょう。
興味のある方は、へレスの馬術学校のショーの模様がネットに上がっていますので、参考にしてください。 4分すぎあたりから隊列を組んでいる所が見られます。
https://www.youtube.com/watch?v=iGE7sGyEJmE
足元を揃えるコツも、実は速くならない事なんです。自分達でちゃんと管理できるスピードで踊ることが、タンギージョを上手に踊る一番の近道です。
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