コラム
カンテの基礎知識

 
各パロ(曲種)ごとの表現 (8)シギリージャ

2018年6月10日アップ 

 
各パロ(曲種)ごとの表現方法に関してのコラム8回目シギリージャです。
 
今回は、暗い系の代表曲シギリージャを取り上げたいと思います。
 
ソレアの時にも書きましたが、ソレアは救いようのある悲しみを、
シギリージャは、救いようのない悲しみや苦しみを表現する曲種です。
ですから、シギリージャの最後につける速い短い歌も、
ソレアのように明るいメロディではなく、短調の暗いメロディになっています。
 
選ばれる歌詞も、治る見込みのない病や死など、救いようのない内容が多く、
具体的になにがどうしたというより、ただただ、苦しいよー、つらいよー、
と言っているだけのことがほとんどです。
アーイという短い嘆きの言葉も多用され、歌詞を滑舌よく伝えるというよりも、
ひたすら苦しさを表現する歌い方が基本です。
 
シギリージャという言葉の意味なんですが、
もとは民謡のセギディージャ(通り過ぎる、交差するという意味)から
来ていると言われています。
民謡についたセギディージャという名前は、
2人ペアーになってお互い交差しあいながら踊ることからついたようです。
(諸説あり)
セギリーヤや、シギディーヤなどの色々な呼び名がありますが、
それぞれの違いはあくまでも地方ごとの訛りの違いで、
すべて同じ曲種を表しています。
 
また、シギリージャはソレアと同じように産地によって多くのタイプがあり、
日本で一番よく歌われているへレス、
スペインでもっとも一般的なカディス、
そして難易度の一番高いトリアーナと、
数多くのメロディがあるのも特徴で、カンテの長さも多岐にわたります。
 
わずか数小節の短いものから、何分もかかるものまであって、
それらを組み合わせて歌うので、
シギリージャ1曲で20分ほどになることもよくあります。
 
次に歌い方なんですが、
踊る場合やギターでは1コンパスを12拍子にとることが一般的ですが、
歌う場合は、スペインではゆるい5拍子にとることが多く、
歌で細かくリズムを刻むことはしません。
各拍の長さも可変ですので、リズムの正確さをあまり追求しない方が
いいでしょう。
 
さて、では各タイプの歌い方の違いを説明したいと思います。
 
まず、へレスですが、メロディに抑揚が少なく、
同じフレーズが何度も繰り返されるので、
歌う場合は、繰り返す度に歌い方に変化を付けることが必要です。
同じような歌い方で何度も繰り返して歌ってしまうと、観客は飽きますし、
踊りバックの場合も、全体に単調なイメージを与えてしまいます。
 
カディスは、他のカディス系のカンテと同じように、
シギリージャといえども、比較的スピードが速くリズムも
わかりやすくなっています。
はじめてシギリージャを歌う人には一番馴染みやすいでしょう。
 
ただ、カディスだからとあまりにリズミカルに歌ってしまうと、
シギリージャらしくなくなってしまいます。
特に、スタッカート気味のはねたような歌い方をすると
シギリージャらしくなくなりますので、気を付けましょう。
 
トリアーナは、どのカンテもそうなんですが、
とにかく難易度が高い事が特徴です。
ひとつのフレーズが何小節にもわたっていたり、
リズムもどうなっているのか、かなりわかりにくいので、
スペインでも踊られることはまずありません。
シギリージャの中でも、特にメロディアスなので、
あまり強く嘆いたりしないで、
メロディをしっかり伝えるように歌うといいと思います。
トリアーナのシギリージャを歌う人はかなりの上級者だと思いますので、
これ以上のアドバイスは必要ないかもしれませんね。
 
次に踊る場合ですが、
基本的に救いようのない悲しみ、苦しみを踊るので、
もちろん笑顔はいけません。
 
特に気を付けたいのが、サパティアード(足音)で、
リズムをしっかり刻むのはもちろんなんですが、
リズムを強調するあまり、軽やかになりすぎないようにしたほうが
いいと思います。
でも、同時に重くなりすぎて、遅くなってしまわないように気を付けましょう。
スピードはあくまでもキープしながら、落ち着きが表現できるといいですね。
 
歌振りに関しては、どのシギリージャを踊るかでかわりますので、
それぞれの歌いかたの解説を参考にしてください。
 
シギリージャでは、同じ暗い系のティエントやソレアと違って、
最後の速くなる部分も、笑顔になることはありません。
最後まで救いようのない悲しみ、苦しみを表現しきってください。
  
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各パロ(曲種)ごとの表現方法に関してのコラム8回目シギリージャです。
 
今回は、暗い系の代表曲シギリージャを取り上げたいと思います。
 


 
ソレアの時にも書きましたが、ソレアは救いようのある悲しみを、シギリージャは、救いようのない悲しみや苦しみを表現する曲種です。ですから、シギリージャの最後につける速い短い歌も、ソレアのように明るいメロディではなく、短調の暗いメロディになっています。
 


 
選ばれる歌詞も、治る見込みのない病や死など、救いようのない内容が多く、具体的になにがどうしたというより、ただただ、苦しいよー、つらいよー、と言っているだけのことがほとんどです。
 


 
アーイという短い嘆きの言葉も多用され、歌詞を滑舌よく伝えるというよりも、ひたすら苦しさを表現する歌い方が基本です。
 


 
シギリージャという言葉の意味なんですが、もとは民謡のセギディージャ(通り過ぎる、交差するという意味)から来ていると言われています。
民謡についたセギディージャという名前は、2人ペアーになってお互い交差しあいながら踊ることからついたようです。(諸説あり)
 


 
セギリーヤや、シギディーヤなどの色々な呼び名がありますが、それぞれの違いはあくまでも地方ごとの訛りの違いで、すべて同じ曲種を表しています。
 


 
また、シギリージャはソレアと同じように産地によって多くのタイプがあり、
日本で一番よく歌われているへレス、
スペインでもっとも一般的なカディス、
そして難易度の一番高いトリアーナと、
数多くのメロディがあるのも特徴で、カンテの長さも多岐にわたります。
 
わずか数小節の短いものから、何分もかかるものまであって、それらを組み合わせて歌うので、コンサートではシギリージャ1曲で20分ほどになることもよくあります。
 


 
次に歌い方なんですが、
踊る場合やギターでは1コンパスを12拍子にとることが一般的ですが、スペインでは歌う場合はゆるい5拍子にとることが多く、歌で細かくリズムを刻むことはしません。
各拍の長さも可変ですので、リズムの正確さをあまり追求しない方がいいでしょう。
 


 
さて、では各タイプの歌い方の違いを説明したいと思います。
 


 
まず、へレスですが、メロディに抑揚が少なく、同じフレーズが何度も繰り返されるので、歌う場合は、繰り返す度に歌い方に変化を付けることが必要です。同じような歌い方で何度も繰り返して歌ってしまうと、観客は飽きますし、踊りバックの場合も、全体に単調なイメージを与えてしまいます。
 


 
カディスは、他のカディス系のカンテと同じように、シギリージャといえども、比較的スピードが速くリズムもわかりやすくなっています。はじめてシギリージャを歌う人には一番馴染みやすいでしょう。
 


 
ただ、カディスだからとあまりにリズミカルに歌ってしまうと、シギリージャらしくなくなってしまいます。特に、スタッカート気味のはねたような歌い方をするとシギリージャらしくなくなりますので、気を付けましょう。
 


 
トリアーナは、どのカンテもそうなんですが、とにかく難易度が高い事が特徴です。ひとつのフレーズが何小節にもわたっていたり、リズムもどうなっているのか、かなりわかりにくいので、スペインでも踊られることはまずありません。
 


 
シギリージャの中でも、特にメロディアスなので、あまり強く嘆いたりしないで、メロディをしっかり伝えるように歌うといいと思います。
トリアーナのシギリージャを歌う人はかなりの上級者だと思いますので、これ以上のアドバイスは必要ないかもしれませんね。
 


 
次に踊る場合ですが、基本的に救いようのない悲しみ、苦しみを踊るので、もちろん笑顔はいけません。
 


 
特に気を付けたいのが、サパティアード(足音)で、リズムをしっかり刻むのはもちろんなんですが、リズムを強調するあまり、軽やかになりすぎないようにしたほうがいいと思います。
 


 
でも、同時に重くなりすぎて、遅くなってしまわないように気を付けましょう。スピードはあくまでもキープしながら、落ち着きが表現できるといいですね。
 


 
歌振りに関しては、どのシギリージャを踊るかでかわりますので、それぞれの歌いかたの解説を参考にしてください。
 


 
シギリージャでは、同じ暗い系のティエントやソレアと違って、最後の速くなる部分も、笑顔になることはありません。最後まで救いようのない悲しみ、苦しみを表現しきってください。
  
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